第九話

あまりにも自然な流れであるかの如くタイ語留学を決めた私は、次に学校選びに取り掛かりました。

学校選びの最低条件は“学生ビザが取れる学校”でした。バンコクには大小さまざまなタイ語学校がありますが、学生ビザを取得するための要件を満たす学校はそれほど多くありません。その他、指導者の質や教授法はもちろんのこと、何語を使ってタイ語を教えてくれるのか、という点も学校選びで重要になるのではないでしょうか。

私が選んだのはタイ日経済技術振興協会付属のタイ語学校(“ソーソートー”という略称で呼ばれています)です。タイ語の教科書を多く発行している学校ですし、言語に関する高等教育を受けた日本語堪能なタイ人教師が日本語で指導するというのが最大の魅力でした。もちろん、学生ビザを取得することができます。

ソーソートーはタイでタイ語を、日本語を使って教える、という点で珍しい学校なのかもしれません。タイにあるタイ語学校の多くは対象を外国人全般としているので英語を用いて指導します。又ある程度タイ語の学習経験のある人が対象であれば、タイ語で教授するという学校もあるでしょう。

ソーソートーが日本語で教授するという以上、生徒は当然日本人しかいません。中には、クラスメートが日本人しかいないと、日本人とつるんで日本語ばかり使ってしまうので、タイ語学習の環境としては好ましくない考える人もいるようです。しかし誰とつるむもつるまないも、タイ語学習にどれだけ力を入れるかも、結局は自分次第だと思うのです。加えて、タイ語を英語を使って習うとなると、自分も英語を百%理解できないところで、英語のネイティブでなはいタイ人教師が発する英語でタイ語の説明を受けても果たしてどれだけ理解でき習得できるかが疑問でした。色々な国の生徒の、それぞれの国の訛りが入ったタイ語を聞きながら学習するのもなんだか不利益しかないような気がしました。

ソーソートーのタイ語コースには二コースあって、一つは前期二か月、後期二か月の計四か月の短期コース。そしてもう一つは一年コースです。費用の問題もありましたし、タイ語学習に一年もかけるのは少々勿体ないような気がして、私は四か月のコースを選びました。タイでのタイ語学校のことを少しでも調べたことのある人なら誰でも知っている、いわゆる“駐妻コース”と呼ばれるコースです。“駐妻”というのは、“駐在員の妻”、要は仕事でタイに駐在する夫を持つ女性たちのことです。 “駐妻コース”についてはのちほど触れることといたしましょう。

⇒次へ 第十話 「悪名高き? 駐妻コース」