第四話

タイ旅行から帰ってから、何かとタイとタイ人が気になるようになりました。図書館でタイに関する書籍を借りてきては読み漁りました。タイ人に関しては、日和見主義でよく言えば大らか、悪く言えばいい加減、よく言われるような“マイペンライ気質(構わない、まあいいさ、というお気楽な気質)”について書かれているものが多かったように思います。本を読んである程度の情報は収集できたものの、何か物足りないというか、自分で確かめるまでは納得できないような気がしていました。しかもタイに関する書籍を読めば読むほど、もっとタイが知りたくなるのです。そして次の段階に入ったんですね。

―タイ人に話が聞きたい。タイ人と話がしたい

まずしたことはインターネットの掲示板でタイ人のメル友を探したことです。ちなみにこの時点では、タイ語を勉強するという発想には至っていません。すぐに何人かのメル友が見つかりました。そのうち二、三人と継続してメールを交換するようになりました。英語でのやり取りなので何か的を射ない内容のメールのやり取りが続きました。

しばらくして、二度目のタイ旅行に行くことになりました。メル友のタイ人たちに報告すると、是非バンコクで会おうという話になりました。会おうという二人のメル友はそれぞれバンコクの大学に通う学生でした。そのうちの一人は、わたしがバンコクに行くと言ったら、おススメのホテルがあるので是非泊まるようにとしつこく連絡してきたのです。

「父の知り合いが経営しているホテルで、清潔だし便利な場所にあるんだ。割引もしてもらえると思うよ」

怪しくはありませんか。少なくとも当時の私は、初めてのタイで経験した“ぼったくりタイ人”の印象しかなかったものですから、こんなことを言われても素直にお願いできるはずがありません。丁重にお断りし、別のホテルを予約しました。もう一人のメル友が空港まで迎えに来てくれることになっていました。そして二度目のタイへと向かったのです。

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